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2020.03.09

ブラジル発。日常生活の中の小旅行で、ちょっと豊かな気分に。

 

「目指せ!自由なオトナ女子 de ブラジル」by セニョーラプリマベーラ(岩井真理)

Vol.3 大自然を駆け抜けて~

(親しみを込めて「マリアフマッサ 」と呼ぶ、ブラジル人気の乗物は、コレ!)

ブラジルは、ちょっと不思議な国です。全国的に統一された鉄道がありません。そもそも、広大な土地ゆえに、鉄道も道路もその発展の過程において、各地域が独自に運営して来ました。

私の住んでいるサンパウロ州は、ビジネスの街として栄えました。かつてはコーヒー産業を中心に、その輸送手段に鉄道は欠かせないものでした。多くの民営鉄道会社が長年運営し、その後それらは統合されブラジル連邦鉄道として国営化されました。しかし、自動車交通の発展に伴い収益が悪化し、連邦鉄道は解体され、再び各社が独自運営し現在に至ります。

従って、同じサンパウロ州でも、地域ごとに鉄道に関する事情は大きく異なります。市内中心部には、メトロと呼ばれるサンパウロ地下鉄やCPTMという列車が走り、多くの人が利用しています。同じ州でも、私の住むカンピーナスは、現在路面電車すら走っていない、完全なる車社会です。

そんなカンピーナスですが、なんとブラジルに5路線しか残っていない市街電車のうちの1つが、土日限定で走っています!しかも、昔ながらの蒸気機関車で、24キロ離れたジャグアリウナという街まで往復する観光トラムです。

真夏の土曜日、朝10時の出発に合わせ始発駅アニューマスへ向かいました。自宅から車で15分ほどのところにあるその駅は、平日とは打って変わって凄い賑わいです。出発時刻まであと1時間近くもあるのに、もう溢れんばかりの人混みです。指示された場所に車を停めて、私達も改札口へ急ぎました。すでに長い列が出来ていましたが、幸いあらかじめネットで予約していた確認書を見せると、係の人にプラットホームの方へ進むように言われました。

実は、今日乗る列車にはレストラン車両が付いていて、出発と同時に列車内で朝ごはんが食べれる特別企画となっています。乗車券代は、食事込みで143レアル(約3500円)です。

Café da manhã (朝のコーヒー)

ポルトガル語では、朝ごはんのことをこう言います。朝はコーヒーを飲みながら、焼きたてのポンデケージョ(もちもちチーズパン)やサンドイッチ、ちょっと甘い素朴なケーキなどを摘むのが、週末のブラジル式典型的朝ごはんです。

ブラジルに住み始めて半年ほど過ぎた頃、このトラムの存在を知り、予定を調べて夫に話しました。列車自体は、毎週末に運行してはいるものの、朝ごはんが食べられるのは限定日だけです。しかも、夫はもともと電車が大好きで、模型のコレクションもしています。こんな面白い列車なら、二つ返事で行く、と言ってくれるものと思って提案したのですが

「そういうんじゃないんだよな」と、あっけなく却下。じゃ、どういうんだよ!と突っ込む隙もなく、この時はたち切れたのに、なぜか今回は彼が自分でチケット予約して来ました。何か心境の変化があったのでしょうか?私は、朝ごはんトラムに乗れればそれで良いのですが。

プラットホームにいる車掌さんから、レストラン車両の場所と座席番号を教えて貰って、出発を待ちました。線路では様々なセレモニーが行われます。まず、ポッポ〜という音を立てながら蒸気機関車が煙を吐いてゆっくりと入線して来ます。ブラジルでは、蒸気機関車の事を「マリアフマッサ 」と呼びます。フマッサは煙と言う意味ですが、親しみを込めてそう呼ぶだけあって、みんなの人気者です。その後、マイクを持った係の人が歴史や役割について説明し、今日のルートについても紹介します。最後に、様々なグッズの宣伝。そうです、観光収入が無くてはこの列車を維持していけないのでしょう。

ふと見ると、夫はその場にいません。アチコチ写真を撮り回っていたらしく、出発直前に戻ってきました。クールを装いつつ、実はめちゃくちゃ興奮しているのが分かりました。

レストラン車両に乗ると、早速ジュースやコーヒーなど飲み物が運ばれて来ました。ビュッフェ形式で好きなだけ食べて下さい、と説明しているのは、先ほど蒸気機関車の前で色々な説明をしてくれた人です。列車が動き出すと、彼はガイドの様に左右の車窓に映る景色について説明し始めました。一人何役もと、大忙しです。

美しい景色もさることながら、まずは腹ごしらえしました。大好きなポンデケージョをパクリ。長いフランスパンを縦に切って、レタス、ハム、チーズなどを挟んだサンドイッチは、一口サイズにカットされて連なる形から「列車サンドイッチ」と言うそうです。どのテーブルも、家族連れや恋人、友人同士でお喋りに花が咲きます。

みんなのお腹が満たされて来ると、車両内も少し静かになり、景色を楽しむ様子が見られました。車窓に広がる景色は、ちょっと北海道に似ています。トウモロコシ畑があり、牛がいて、空はどこまでも晴れ渡っています。今は使っていない駅が途中いくつかあり、コーヒーで豊かだった時代を思い起こさせます。

ゆっくりと蒸気機関車に引っ張られて列車が折り返し駅に着いたのは、2時間後のことです。ジャグアリウナの街へは初めて足を伸ばしました。日系企業も工場など置いている、こじんまりとした穏やかな街です。駅構内には、オープンエアのレストラン、その他露天商も並びます。列車は、1時間後に出発だと知らされましたが、お腹はいっぱいなので、私達はテントの中のお店を見て回りました。自分へのお土産をちょっと買って、あとは駅の様子を写真に収めました。

帰りは、ゆらゆらと列車に揺られていたら、すっかり眠たくなりました。まどろみながら風に吹かれていると、この上もなく幸せな気分です。ブラジル人達は、派手に騒ぐのも好きですが、親しい人たちに囲まれてゆったりと時間を過ごす週末をこよなく愛しています。朝ごはん付きの観光トラムなんて、ちょっと子供騙しだと思っていたけれど、意外なことに、そこにはブラジル人の幸せ度の高さの理由が潜んでいることを発見しました。

そう言えば、前にも一度、ブラジルで蒸気機関車に乗ったことがありました。ブラジルのスイスと言われているカンポスドジョルダンと言う高級リゾート地を走る観光列車でしが、よく調べてみたらこれも現存する5つの市街電車の1つでした。

日常的に電車を使うことは少ないブラジルでの生活ですが、こうして時々触れる鉄道は、開拓精神を乗せたノスタルジックな雰囲気の乗物なのです。

 

*今までのブラジル情報は、「きれい生活研究所」Kireiライフキャリアのすすめ

ブラジル発「駐妻」に転職しました!

〜 ワーキングウーマン の ポジティブ ラテンライフ 〜にて御覧いただけます。

https://kireilife-lab.com/?cat=84

*「世界ウーマン」掲載中

https://www.sekaiwoman.com/columns/bom-brasil/